簡単な話。相手の利益を最優先に考えればいい。
Auramorteの蟻坂(@4risaka)です。ご機嫌いかが。

同人などのインディーズ創作界隈に本当に掃いて捨てるほどよく見る、その割に定量的な効果が測定されたレポートが一切見当たらない「【拡散希望】」という文言があるよね。

「なんでネタばっかりRTしてこっちはRTしないんだよ!」という嘆きは見かけるけど、そこまで分かってるなら改善しようよというのが率直なところ。今日はそんな話をしてみようね。

事例で見てみる

「改善せよ!」と言っても、ノーヒントも無責任なので、ちょっと調べればわかることだけど以下に「拡散希望しないでRTさせる」事例を書いてみたよ。

パターン1: 謎解き

@German_Dogs_30さんの例。ツイートにパズルを仕込んでいるよ。

これのポイントは「解けたらRT」としているところ。かつ、「パズルを解く」という受け手への「そこそこハードルの高いアクション」を要求していること。

パズルを解けたら達成感がある……のだけれど、それ以上に解けてない人より偉いという自己愛・自尊心の満足につながるんだよね。だから、これをRTすることによって俺は解けたぜというのをフォロワーに伝えることができる。だから、紛れもなくこれは「RTしたくなるTweet」なのね。

で、それを見たフォロワーも、特に男性は競争心が働きやすいらしいので俺も解いてやると解いてRTする。解けなくてもズルしてRTする人もいるんだけど結果はどうでも良くて、仕掛けを作って自然とRTしたくなる状況を作り込んでいるところがポイントね。言い換えると「ズルRTしてでも見せつけたくなる」という欲への訴え。

パターン2: 懸賞・特典

ふたつめ。今度は家電メーカーのDyson(@DysonJP)の新製品PR。


はい、これはなんとそもそもRTじゃない。やらないといけないことは以下の3つ。

  • 特定のハッシュタグを付ける
  • 画像をTwitterのつぶやきかInstagramの投稿に貼り付ける
  • 新製品でやりたいことを文章にする

たったこれだけをやれば、お金も労力もかけずに最新の家電が当たるかもしれないという仕掛け。

人というのはタダに弱いことは、行動経済学の名著『予想どおりに不合理』でダン・アリエリー氏が証明しているのだけれど、こんな風にちょっと手を動かせば自分に凄く良い物がやってくるかもしれない、という希望の持たせ方をしているんだよね。そりゃハッシュタグ付けて投稿するだけだもん、やりたくなるよね。

さらにDysonが凄いのは「Instagramに投稿」も抽選対象としているところ。これをすると何が良いってSNSを横断してPRできるんだよね。今やInstagramはユニークユーザー数でTwitterを超えているし、ターゲットとして外せない。1回のPR活動で複数のSNSにアプローチできるなら、コスト的にもいいし拡散力もそれだけ増えるよね。

さきほどのパズルと違うのは直接物欲を刺激しに行っているところと、アクションが簡単なこと。いくらタダでもらえるかもしれなくても、面倒だったらたぶんやらないと思う。会員登録とか最たる例だよね。

パターン3: 悪ふざけへの参加

いちばん馴染み深いのはやっぱりネタTweet。個人だとやりやすいのもやっぱりネタTweet。

タイムリーに最強のTweetがあるので紹介しよう。RT数世界記録になってしまったCarter Wilkerson(@carterjwm)さん。

どういう流れかと言うと、以下の様な感じ。

  • ウェンディーズのナゲットが好きなWilkersonさんは、ウェンディーズの公式アカウントに「ナゲット1年分ほしいんだけど、何RTされればいい?」とReply
  • ウェンディーズの公式アカウントは「18 Million(1,800万)」と回答
  • Wilkersonさん「助けてくれ、ナゲットが必要なんだ」とTweet
  • 悪ノリした人達が次々にRTされ、あれよあれよと350万RT(物凄い記録なので、結局ナゲットはもらえることになったらしい)

これも僕はパターン1と一緒で自尊心とか自己愛だと思ってる。というのは、「ムーブメントに参加してやった」という成果を得ることに満足するの。社会的欲求(外的欲求)が満たされるから「自分もなにかやった感」が気持ち良いんじゃないかな。

この手のムーブメントは今に始まった話じゃなくて、例えばIce bucket challangeはすごい金額の寄付金を集めたし、Wikipediaなんかほとんど編集者任せだけど、やっぱり「してやった感」が満たされるところに大きな意義があるように思える。

で、そういった欲の満足をRTと紐付けて「RTすると満足感が得られる」仕掛けを作ると良いんじゃないかな〜。

要するに「RTする人の利益になる」こと

ここまででもうおわかりだね、RTされるTweetというのはRTするとRTした人に嬉しいことが起こるTweetのこと。

だから上記のパターンも誤解しちゃいけなくて、例えば懸賞・特典パターンであれば「新譜を無料で」とかやられても家電とか食べ物と比べたらどう考えてもいらないし、同人だと不公平感が炎上の種になりかねないよね。

そうじゃなくて、もっと一般的に、広く社会的に受け入れられている嬉しいことを考えて、それを自分の作品の宣伝にさりげなく紛れ込ませるのが良いと思う。

拡散希望がRTされないのはRTした側になんの利益もないからなんだよね。ネタTweetがRTされるのは噂話とかテレビの話題のように「こういう話を広める満足」という形でシェア欲というか自尊心というか、そんな感情を満足させる効果があるから。

てことで、「RTされたらうれしい」ではなく「RTしたらうれしい」Tweetを考えてみよう〜。

おわりに

マーケティング思考でしょ?そういうのがいやなら別の方向を考えるのもいいと思うけど、やっぱり真似から入るのが楽で良いよ〜。

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