「当事者意識を持って行動し、場を提供する」ということをやってのけている人を称える記事。
Auramorteの蟻坂(@4risaka)です。ご機嫌いかが。

同人創作のシーンは「お店やさんごっこ」が袋小路に行き詰まっている感がある……のは一部の人が認識していて、どーしたもんかなこれっていう気がする。

で、それについて問題提起をして、たとえばTwitterでワイドショーのコメンテーターの真似事をするのは誰にでもできるんだけど、それで何か解決するかっていったら絶対にそんなことはない

つまり、具体的に手を動かしている人というのはそれだけで凄い、一つ上の存在だと僕は考えている。だから、この記事で改めて紹介してその実績を讃えようと思う。

1. 同人音楽超まとめ

ご存じの方もいらっしゃるかと思うけど、Anitasunさん(@anitasun)が主体になって、直近の即売会で出展するサークルの作品情報をまとめあげているサイトがある。

同人音楽超まとめ

同人音楽超まとめ


同人音楽超まとめ

高い一覧性に加え、音楽プレイヤーを連携させて「一気に流し聴く」ということができる。この設計によって、気になるサークルを「耳で」認識することができるというのは、ありそうでなかったポイントだよね。

また、出展サークルは全部こうやって聞き流しチェックができるので、「今まで気づかなかったものに出会う」という、PRの重要な要素のひとつである「ばったり」感を演出している。サークル主個人の努力に依存しないで宣伝できるシステムなので、本当に素晴らしいと思う。

ちなみにサイトのリンク集にはお役立ちテンプレートのTokusetsuとか、キュレーションラジオのあぷらじ!があったりする。こちらも要チェックだね〜。

そうそう、この「流し聞き」できるシステムの思想は、ネット即売会APOLLOのシステム設計にも受け継がれているよ。

2. R3 Magazine

「Recommend」「Review」「Reaction」という3つの切り口から同人音楽をキュレーションするエンターテイメント雑誌。自主制作

R3 Magazine

R3 Magazine


R3 Magazine

なにが凄いって主催のタチやんさん(@mofday)のカリスマというか巻き込み力。たくさんのメンバーが関係して数十ページのレビュー・コラムなどの総合コンテンツを作り上げる様は、まさに同人制作の本質的なところを思い起こさせてくれるよね。

「超まとめ」が能動的にサイトを閲覧して気になるサークルをマークするのに大して、R3 Magazineの構造は、まさに雑誌のように「コンテンツを受け取ることによって自分の知らない世界を気づかせてもらう」ことにある。

ネット時代というのは、自分で選択したつもりの情報が実は行動に囲い込まれているというパターンが少なくないので、気がつけば限られた情報にしかアクセスできなくなっちゃっている。これが結果的に「注目されないサークル」を無数に生み出す悪循環のひとつの原因にもなっている気がする。

それをひっくりかえす一つの切欠になるんじゃないかな〜。

3. DMJ!

メジャーアーティストにもなった六弦アリスの六弦A助さん(@rokugena)が作り上げたニュースサイト。

DMJ!

DMJ!


DMJ! | 同人音楽サークルに関する最新の情報を発信するWebマガジン 「Doujin Music Journal」

「超まとめ」が即売会単位、「R3 Magazine」もそれ自体が頒布物な関係で即売会単位のレコメンドになるのに対して、DMJ!はきめ細やかな更新で常にアンテナを張り続けることが可能という特性がある。

これ、創り手観点だと、メディア掲載のチャンスが増えるので、いわゆる「いい曲を作っていればそのうち」の努力が報われる可能性がそれだけ上がる。これは良いことだよね。
で、聴き手観点だと、RSSにでも登録しておけば黙ってても色んな同人音楽の情報がだーっと入ってくる。実はこれ、ありそうでなかった。

実は同人活動の宣伝、Twitterで作家個人をフォローして回ったりとかして、根本的にDigが聴き手個人に委ねられてたし、おまけに宣伝戦略が創り手の商才に完全に依存していたんだよね。

これでは制作の本質と異なる部分で「注目されるか否か」が決定してしまう。同人活動の本質的なところを考えると不健全だよね。

この記事を書いている5月7日時点ではできたてほやほや。これから構造的な歪みを打破する一つの光になってくれることを期待だね〜。

おわりに 〜猛省!〜

しかしまぁ本当に実際にこれだけ大掛かりなことをやってのける人達には頭が上がらない

だって僕はあくまでもプレイヤーとして頭を働かせてしまうから、例えばマーケ思考を身に着けろとか、Give&Giveをしろとか、そういう説教臭い路線に行ってしまう。

だけど根本的にそう考えないといけない時点で同人活動として何か歪んでいることにようやく気づいたわけで、これを打開する策は、やっぱりプラットフォーマーの行動力には叶わないのだな〜と自省しているところ。

でもこれはこれで必要だと思っているので、僕はあくまでもプレイヤー視点で「こうするといいかもよ」みたいなハナシを勝手にしていくつもり。信じたければ勝手に信じてね。

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