「名前などの設定の浅さ」「展開」あたり。
Auramorte(@Auramorte)の中の人、蟻坂だよ。ご機嫌いかが。
同人に限らず、メジャーバンドでも見かける「音楽で物語を表現する」という形式。メッセージよりも物語そのものを受け手に届けることが目的になっている以上、小説のシナリオなどの深掘りができていないと中々伝えるのが難しいジャンルなんだと思う。
……なので、テキトーにやってるとバレるというか割と冷めることがあるので、「こういうのあるよね」みたいな話を少々。
一貫性の乏しさと、深堀の浅さが見えるとき
ひとことで言えば、テキトーさが透けて見える瞬間をとらえてしまった時。もう少し具体的に書いてみよう。
登場する人や舞台の命名規則が荒っぽい
物語音楽というのは多くの場合登場人物が居るわけだけど、その命名規則が荒っぽいと「?」となることがある。僕だけかな?
「荒っぽい」というのはだね、いくら創作といえど、現代日本風とか、中世ヨーロッパ風とか、いろいろ元になっている時代設定とか文化の背景なんかが必ず存在する。ファンタジーの金字塔『指輪物語』シリーズも、数々のオリジナル要素はあれど例外ではない。
でね、命名規則がテキトーというのは、例えば「マイケル」と「ミカエル」が同時に存在しちゃうみたいなそんな感じ。どういう意味かというと、これ両方Michaelなんだよね。で、アメリカ読みすると前者、ヨーロッパ圏だと後者。
もうちょっと具体的に例を挙げると、海外の映画に出てくる「日本っぽい何か」に感じる違和感がそれに近いかな。
例えば、パニック映画『デイ・アフター・トゥモロー』の日本のシーンとかこれ中国じゃないのって感じだったりとか。それっぽければいいじゃんって思うかも知んないけどおかしいもんはおかしいし、そういう態度が透けること自体が表現としてよろしくない気がする。この例は本質から遠い箇所だからまだマシだけど。
造語が適当
オリジナリティの表現として造語(固有名詞を含む)は結構やりやすい。神秘的な雰囲気も出しやすいし。
で、僕が気になるのはこれテキトーにやってるだろって割とすぐわかるような感じの言葉が出現した時。
具体的には
- 文法が見えない(歌詞を読み解いても法則性が全くない)
- 単語が見えない(語源とか活用とかがそれっぽくでも使われている形跡がない)
- 接頭辞・接尾辞・格などの文構造が見えてこない
- 音韻体系が日本語っぽい
あたり。
別にラテン語並に格を真面目に考えてないとダメとか、単語帳作れって言ってるわけじゃなくて、せめて文法が成り立ってる感は欲しいよね。歌詞カードに書くぶんだけでもその場で質問されたら答えられるくらい準備してよ、みたいな。
英語なんかは格を含めて結構シンプルに体系化されてるので、この辺を真似てでもS+VとかS+V+Oくらいは歌詞から見えてくれるとそれだけでも「おお、凄い!こだわってる!」って感動するよね。
4番目のは個人的に致命的で、やっぱテキトーにやってない?って冷めちゃう。
単語なども日本語っぽくまとめてあるなら、そういうオマージュとして面白いなーって思うんだけど、明らかにラテン語かぶれなんだけど、ストレスがめっちゃ日本語みたいなのって、なんだか白人コンプレックスみたいで冷めないかな。僕だけ?
展開が普通
物語「音楽」として、音楽をツールにして物語を表現するなら欠かせないかなーって思ってるのはこのあたり。
ええと、歌モノの王道、特に日本の曲の場合は
- Intro
- Verse(Aメロ)
- Bridge(Bメロ)
- Chorus(サビ)
を基本構造にして成り立ってると思う。これを繰り返して2番、Cメロなどを挟んで大サビ……みたいなのが王道だよね。
だけど物語音楽で単に2回繰り返しておしまーいって物語の表現としていいのかそれでって思っちゃったりする。
物語なんだよね。起承転結があるはずだよね。登場人物の葛藤とか、時系列によって移り変わるなにかを表現したいはずだよね。じゃあ繰り返す意味って何だということになる。
Sound Horizonはここんとこ完璧だよね。聴きやすいサビを何度か入れることはするけど、それは楽曲全体を俯瞰したテーマに留めるのが主で、物語の進め方としては転調・語りと一筋縄ではいかない複雑な展開で、時系列を巧妙に作り出しているよね。
創る側の視点で話をすると、実際これやるの超大変なんだよね。だけどこれができてる曲を聴くと「おおー」ってなるよね。
あ、「物語の体を為しているけど、どちらかといえば作者の人格が前面に出ているタイプの曲」はまた話が別かも(ゴス系の同人音楽に多い・これはこれでアリ)。
おわりに
なんだか説教臭くてごめんね。でも、テキトーにやるならわざわざその表現を選ぶ理由って実は無いんじゃないかなぁ、って思って。