他人に思い通りに動いて欲しいときに取るべき策を、先人から学んで見る

褒めて伸ばそう! Auramorteの蟻坂(@4risaka)です。ご機嫌いかが。

「拡散希望!」の叫び声が虚しくこだまするTwitterだけど、みなさんはどうしてる? いろいろ策を考えて頑張っているようだけど、そもそも人間を相手にする場合は「どうやって相手の気持ちを動かすか?」が肝要になってくる。

というわけで、今日はそんな「どうやったら人の気持ちを捉えて動かすことができるか」という題材で、相反する観点のテーマの本を2冊紹介してみよう。

人の心の動かし方とは?

まえがきもほどほどに、早速紹介するねー。

D・カーネギー『こうすれば必ず人は動く』

まず有名なデール・カーネギーの著書『人を動かす』……と同じような内容が収録されているラジオのテープ起こしをまとめた本(ややこしい)。

要するにカーネギー氏の「こうすれば人は動いてくれるよ」という考え方をまとめたもの。

ポイントはシンプル。褒めて認めて、信頼してあげること。そして誠実であること。

  • 間違いを犯したら、それをすぐ認める
  • 自分が扱って欲しいように人を扱う(丁重にもてなす、信頼する、ほめる)
  • 興味を持ってほしいなら、自分から興味を抱く
  • 礼儀正しく接する
  • 相手が間違えているとは決して言わない

……などなど、普遍的な道徳を説くような内容になっているのがわかるよね。

この考え方は他の有名人も言っているひとがいるね。そう、山本五十六。

やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。

正直出処がよくわからないんだけど調べたらいっぱい出てくるよ。

彼の言っていることも、カーネギー氏の考えも本質的には全く一緒。相手に誠実に接して、相手の行いを褒めてあげること、そして人の話を聞くこと。

これはアダム・グラント氏の『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』というビジネス書にも同じような論旨で書いてある。

成功しているギバーは、四つの重要な分野──人脈づくり、協力、人に対する評価、影響力──で、独自のコミュニケーション法を用いる。 「人脈づくり」……新しく知り合った人びとと関係をつちかい、以前からつき合いのある人びととの結びつきを強めるための画期的なアプローチ。 「協力」……同僚と協力して業績をあげ、彼らの尊敬を得られるような働き方。 「人に対する評価」……才能を見極めてそれを伸ばし、最高の結果を引き出すための実用的なテクニック。 「影響力」……相手に自分のアイデアや関心事を支持してもらえるようなプレゼンテーション、販売、説得、交渉をするための斬新な手法。

不思議なものだけど、つまるところ承認してほしかったら相手を承認すること、話を聞いてほしかったら相手の話をまず聞くことなど、「Takeを受けるために先にGiveをする」というのが戦術として有効だということを指摘しているね。

「情けは人のためならず」って言葉を知ってる?「相手に情けをかけると巡り巡って自分の利益になる」というのを婉曲的に表現したことわざなんだけど、ことわざになる程度に昔から言われてたって考えたら、なんだか納得がいかないかな。科学技術がどんなに発達しても、人間の心はそう簡単には変わらないよね。

レオ・マルティン『元ドイツ情報局員が明かす心に入り込む技術』

ドイツ情報局員だったというレオ・マルティン(仮名)氏の、情報局時代の「人の心を掴む方法」をまとめた本。

国家の諜報機関の職員ってなると、色んな情報を集めるために色んな取引をやっているに違いない……そう思うよね。

  • ときには超法規的な暴力を行使する
  • カバンいっぱいに入った札束で敵を買収する
  • 敵の組織にスパイとして潜り込み、本部に情報を送る

こんな感じで。でも実際は上のような直接的行使ではなく、もっと泥臭いらしい。というのも、先に上げた方法は目立ちすぎるのでリスクが高いし、お金は一瞬の報酬でしかないので、長期的に見て情報を提供され続ける環境を作るのには適さないわけ。

じゃあどうするか?敵の組織の人材をスカウトしてスパイにするらしい。こうすれば特定のルートから安定して情報を手に入れられるし、情報員本人の身は隠しつつ、いつでも簡単に契約を切れる関係性の人員を雇える。

とはいっても、スパイにするってどうすんだよって話になるよね。この本の前半にはそんな情報戦を制するためのリクルートスキルについて書かれているよ。

→周囲の人たちに対する自分の考え方をチェックする。
→相手を値踏みするような態度や低く評価する態度を改める。
→相手に対するネガティブな考えを持ち出さない。
→調和した人格であるよう心がける。
→接する人すべてについて、よい特性を見るようにする。

……あれ?なんか普通に人の接し方の話になってる?

そして極めつけはこれ。

自分の基本的欲求が何か、あなたは知っているだろうか。新車が欲しいとかボートを所有したいとかマイホームとかではない。基本的欲求はそういった類いのものではない。  人は安心感を抱きたい。人生でも職場でも家でも、とにかく自分の環境の中で一緒に暮らす人とともに安心していたい。  そして一緒に暮らす人や出会う人が自分に好意を抱き、自分を尊重していると感じたい。自分の話を真剣に聞いてくれて、自分の真価をわかってくれると感じたい。愛されていると感じたいかもしれない。  安心感、愛情、称賛──これが、誰もが望む基本的な欲求だ。

そう、みんな大好き承認欲求のたぐいだね。安心感や愛情は社会的欲求に入るかもだけど。

で、情報員のリクルートというのはこの基本的欲求に訴える、つまり相手にとって安心できる、信頼される人物になることで、相手が「この人だったら教えてもいいかな」と思わせて結果的にスパイにしてしまうという、中々すごい手法。さらっと書いたけどかなり忍耐が必要だよね。信頼関係を築くのにどれくらいかかるか、皆さん分かるよね?

人々のこうした基本的欲求を繊細なやり方で満たしてあげれば、あなたの魅力が増して、みんなから好かれるようになる。そしてあなたのために何かしてあげたいとみんなが願うようになる。こうしてV人材ができる。V人材は、あなたの属する組織のためではなく、あなた個人のために喜んで動くのだ。

皆さんも直感的に理解できるよね。相手に信用されると思いがけない話を聞いたり、秘密を知ったりすることができる。例えばオタクの人だったら、普段人に言わない趣味を、「あ、気心知れる相手だな」と思った瞬間に開示してくれたりするよね。

こんな風に、信頼の力というのはお金などの単純な報酬と比べて遥かに粘り強い力がある……だから徹底的に「信頼されるスキル」を磨けば諜報活動に応用できる、という話。ソシオパス的だけど、真理じゃないかな。

あれ、同じこと書いてない?

さて、もう気づいたと思うけど、偉大なビジネスマンも諜報機関の職員も同じこと言ってるんだよね。人をこっちの思った通りに動かすには信頼されろ、承認をしろ、傾聴しろと。

アプローチは全く逆で、ビジネス的な観点だと組織の統率からの成長とか活躍みたいな「社会的によろしい活動」をイメージする行為の観点で述べられているのに対し、情報局的な観点だと人格を創り上げて目的を達成するという道徳的にどうなのみたいな観点で淡々と述べられているね。

つまるところ他人から見たら、自分を認めてくれる存在は目的や背景に関わらず大事に思えるってこと。これを利用したGive&Takeを狙う心理効果に「返報性の原理」というものがあったりするくらい。

おわりに

だから、どんな状況であっても相手を信用する誠実な人間であること、これこそ最凶の人たらしへの第一歩なんだよ(最後にぶち壊し)。

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