個人的に気をつけている、5つの作詞アンチパターン

こうするとよい、より、こうするといけない、のほうが使えるかもしれないので。 Auramorte(@Auramorte)の中の人、蟻坂だよ。ご機嫌いかが。

前回の記事で作詞で使っていることを(後付で)説明したんだけど、これだけでは「やってはいけないこと」がまだ見えてこない。

やってはいけないこともまた僕は無意識というか感性でやってるんだけど、これまた頑張って言語化してみたので、参考になればいいな。

作詞のアンチパターン5選

前回の記事で7つ挙げられたけど、こちらは5つだけ挙げてみるよ。

1. 舞台の雰囲気に合わない言葉を選ばない

物語音楽に限った話じゃなくて、1番から最後まで一貫して言葉を選ぶこと。

「雰囲気に合わない」というのは、例えばメッセージ性のある歌詞にしてもそこには舞台設定が必ずあるはずで、それに違和感を抱くようなワードを入れないということ。

具体的な話をしてみよう。例えば物語系、僕の得意なゴス系の舞台で、少年か少女か、その辺のキャラクターの「死」をなんらかの直喩で表現したくなった場合。

  • いい例: 「糸が切れた人形のようになった」「陶器のように冷たく、固くなった」
  • 悪い例: 「電源が切れたように動かなくなった」「コンクリートのように冷たく、固くなった」

ゴス系の舞台だとしたら中世〜近代がよく連想されるわけだけど、さて産業革命前の時代に電源やらコンクリートとはこれ如何に

比喩を使う場合、語り手もまたその世界に寄り添う形になるから、少なくとも未来人の脳みそを持っていてはいけない。一気に現実に引き戻されるような感じがして嘘くさくなる。

2. 日常的な言葉を軽率に使わない

「非日常的な言葉を選ぶ」のがよしとするならば、その逆はなるべく避けたい。

たとえば、「屋根裏童話」の1番のAメロ。

糸に絡め囚われた蝶が悟る絶望に似ていて

ここで、「絡め囚われた」は普通使わない妙な表現だよね。本来なら「絡め取られた」でもいいはず。で、メロディに合わない部分は「糸」とか「絡める」の表現を修正すれば間に合うわけ。

だけど、ここで「絡め取られた」って言うと普通に虫の動作を書いてるだけな気がしてなんだかチープなんだよね。あくまでもゴスであることは徹底しないといけない。だから、束縛と絶望を表現するために「絡め囚われた」としてみた。

「囚」の字には、「とらわれの姫」とか「囚人」といったものを連想させる力があってゴスしてるよね。こういう非日常感を随所に遠慮なく突っ込むことで一貫性が生まれるんじゃないかな。

3.無理して繋げようとしない

これはどういうことか?AメロとかBメロなどの構成ごとに一個の文章を頑張ってつくるのを止めるってこと。

またまた「屋根裏童話」から2番のサビ。

祈る指を解いてナイフを握るのならば、
孤独に膿むその手を取ろう。ロザリオと引き換えに。
“童話の始まりこそ悪夢の総て”と言うなら
主の居ない屋根裏<グルニエ>など、炎と消えてしまえばいい。

前後で場面がぶつ切りだよね。これって小節にすると8+8で綺麗に分割できるので、下手にくっつけるよりも主題を保持したまま2つ主張するのが簡単で良いよ。

4. メロディに合わせることを意識しない

曲先だとよくあるのがメロディに合う文章が出てこないっていうやつ。無理にあわせなくていいじゃん?

まず言いたいことがあるはずで、その本質はどっちにあるか。メロディ?歌詞?伴奏?その瞬間で一番ウェイトが大きいのはどこ?

メロディが本質なら変えちゃいけないよね。逆に、メロディは例えば「キャッチーであること」が条件であれば表現上重要さは低いので、歌詞に合わせて組み直してもいいと思う。音色などのほうが重要なら、そっちを詰めればあとは少し改造しても問題ないはずだよね。

そして「譲れないメロディ」だとしても本質を押さえていればメロディの方を少し変えるのはアリだと思う。ここの跳音ははずせないとか、ここの半音の動きは絶対やりたいとか、ワンフレーズ丸々使わないといけない用事って意外とないハズ。

5.音符の分割はなるべくやらない

さっきの節の「無理してメロディに合わせない」に通じる話。

あるロングトーンがあったとして、そこにうまいこと歌詞がはまってくれなかった場合、簡単な回避策として「音符を分割して歌詞に合わせる」というのがある。パッセージは細かくなるけどいろいろ言うことができるようになるね。

だけど個人的にこれはなるべく控えたい。理由は聴いてて息苦しいから

音数が増えるとやかましく聴こえるし、早いパッセージはボーカルも大変。無駄に難しい曲を歌えるのが凄いっていうのは子供だましだよね。

そうではなくて、ボーカルの持ち味を引き出して表現の武器に変えられるのが良いメロディだと思うし、無駄に多く語らなくても伝えることを伝えられるのが良い歌詞だと思う。だから、それを念頭に置いてつくっている……つもり。

おわりに

前回の記事よりパンチが無かったかもしれない。なにしろこれも後から自分で解釈しただけなので、何しろ意識してやっている部分が自分でも本当にわからない。

だから、自分の歌詞を引用しつつも実は他の曲の歌詞を読んで「えー」って思ったところでもあったりする。沈黙は金らしいから詳しくは黙っておくよ!

ちなみに今回題材に取り上げた「屋根裏童話」は以下のページから購入可能です。

1st Demo “屋根裏童話” – Auramorte Official BOOTH –

iTunesとかAmazon Musicでも買えるけど、歌詞カードは上記リンク以外では手に入らないよ!

Share